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心にいつも海鳥を - 『潮風に吹かれて』編


海鳥の気持ちになってみました


      場所:千葉県勝浦市
日付:2007年8月26日


読者の皆さん、こんにちは。BIRDER編集部ヒヨ吉です。第5回からしばらく時間が空いてしまいました。更新を心待ちにしていた皆様、大変お待たせしました!(^o^) さて、このウェブ限定の連載についてヒヨ吉は友人より、こんな意見をもらいました。



「海鳥を観察するのもいいけれど、
 海鳥の目線になってみるのもいいんじゃないかな?」(・∀・)b




これは目から鱗でした。この一言がきっかけで、海鳥の気持ちに近づくために、彼らが見ている世界のごく一部でも良いので体験してみたくなりました。ヒヨ吉はどんなに頑張っても海鳥たちのように海上を飛ぶことはできないので、、、



海鳥の気持ちになって海に潜ってみることにしました!(^o^)ノ



ただ、ヒヨ吉はあまり泳ぎが得意ではないので、外洋を泳ぐのではなく、シュノーケリングで海岸近くを泳ぐことにしました。潜ったのは千葉県勝浦市の海岸(写真1)。この取材の記録用にデジカメのハウジングを買ってみました。これで水中撮影もばっちりです。


写真1:千葉県勝浦市興津海岸。きれいな海でした


ヒヨ吉は、ウミスズメ類の気持ちで潜ってみることに決めました!(・∀・)☆

以前、東京葛西臨海水族館の水槽でウミガラスを見たとき、潜った後に斜め45度くらいでスーッと潜っていったのを見ていたので、同じように潜ってみましたが……



ツーンと耳が痛い!(>_<)



水圧の変化で鼓膜が圧迫されて、ひどい痛みです。水深2mほどでかなり激しい。彼らはこの痛みに絶えながら泳いでいるのでしょうか? いえいえ、おそらく海鳥をはじめ潜水する鳥たちは、痛みを感じないような機能をもっているはずです。こんなところでも海鳥の偉大さを感じます。ヒヨ吉は耳抜き(鼻をつまんで口を閉じ、息を飲み込む動作)をしなければ、この痛みには耐えられません!

さて、次は潜りながら魚を探すことをしてみました。魚を見つけること自体はそんなに難しいことではないのですが、追いついて捕まえようとしたところで、捕まるものではありません。ヒヨ吉が一生懸命魚に追いつこうと泳いだところで、あっというまに魚たちは逃げていってしまいます(写真2)。

ウミスズメ類は翼を使って、ウの仲間は足を使って水中を泳ぎますが、彼らの泳ぎの遊泳能力に感服です。


写真2:ちょっとこちらが泳ぐそぶりを見せると、魚はすぐに逃げていってしまいます


ただ、水深の浅い場所で藻のようにプカプカ浮いていると、魚にけっこう近寄ることができました。写真は黄色に黒い縦縞がきれいなカゴカキダイ(写真3)、ウミタナゴ(写真4)、キュウセン(写真5)。


写真3:カゴカキダイ
写真4:ウミタナゴ
写真5:キュウセン


また、群れている魚には毒を持つものもいます。これはナマズ科のゴンズイ(写真6)。いくらたくさんいて、近くに寄れるからといって手を出しては危険です。水中で瞬時に魚の種類を見分けるのも、たいへんなことです。(;・∀・)


写真6:ゴンズイ。通称「ゴンズイ玉」。身を守るためにダンゴ状になったゴンズイは、このまま一緒に泳ぎます



海の透明度も場所によって大きく違いました。取材当日は海も穏やかでしたが、荒れた日に海鳥観察をしたときには、改めて海鳥の生活の厳しさを感じました(写真7・8)。


写真7・8:視界不良の海


さて、今回潜った場所はカジメという海藻が繁茂する場所です。よく見るとその中に生まれて間もないであろう稚魚(写真9)がたくさんいました。撮影しながら「がんばって大きくなれよう」とシュノーケルから声を出しました。


写真9:稚魚の群れ。種類はわかりませんでした


息継ぎに水面に上がったとき、不思議に感じたことがありました。それはウミスズメ類の水面での視点。水面に浮いているときの目の高さでは、おそらく写真10のような視界(だいたい5〜10cm)と予想しましたが、波で上下に揺れるととても周囲の状況は確認しにくかったです。

でも、きっと彼らはこの状態でも魚を肉眼で探しているものと思われます。写真11のように少し上にカメラを上げる(約15〜20cm)と、ずいぶん視界はよくなりますが、これはウミスズメ類にとってはかなりきつい体勢のように感じます。


写真10:波の動きしか目に入ってきません。こんな世界をずーっと見ていると思うと、ちょっと酔ってしまうかも

写真11:少し上にカメラを上げるとかなり視界が開けます。ほんのわずかな差でも、ずいぶん大きく違うのには驚きました

写真11:水面に少しカメラを向けて撮影。画面のほぼ3分の2が海面に。水面にいるときはおそらく海しか見えない海鳥の視界です


というのは、ウミスズメ類の餌取りの様子を観察すると、水面で小魚が跳ねているような場所にどこからともなく鳥たちが集まってくるのです。そして、魚の周囲でダイビングを続けて魚を採り、しばらくしてカモメ類などの大形鳥類が魚に群れに気づいてやってくると、ウミスズメ類は飛び去ってしまうということが多かったのです。

波の揺れによる上下によって視界が大きく変動する中で、跳ねる魚の鱗の反射光などを確認してやってくるのでしょうか? そうだとしたらすごい動体視力だと思いました。

夏の暑い晴天で、海も穏やかな日に海に入っているのは気持ちいいものです。でも、海鳥たちは冬の極寒の海上でも生きています。今回、海鳥の視点で海を泳ぎ、彼らの人間とは違うすばらしい能力を実感したヒヨ吉。とても貴重な経験でした。


おまけページはこちら!(^O^)ノ


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